坂本 憲彦

PRINCE WAIKIKI

プリンススタイル

人気プレートランチ店のオーナーがレコメンドする、「普通のハワイ」の楽しみ方

坂本 憲彦 パイオニア・サルーン オーナーシェフ

坂本 憲彦
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ダイヤモンドヘッドの麓のモンサラット通りに、ローカルからも日本人観光客からも愛されている人気店がある。2018年にはカカアコに2号店をオープンし話題となっている、プレートランチ店『パイオニア・サルーン』だ。日本人オーナーシェフの坂本憲彦さん、通称ノリさんは、ニューヨークとフロリダで寿司職人として働いたのち、新生活を求めて2002年にハワイにたどり着いた。

東京でのサラリーマン生活を捨て、アメリカへ

「初めて海外に住んだのは27歳のとき。アメリカで英語を勉強しようと思ったんです。その頃に流行っていた英会話スクールは1年間で100万円くらいしたので、それならもう行ってしまおうかと」

脱サラして海外生活を始めたきっかけを、坂本さんはそう振り返って笑った。

当時アメリカは空前の日本食ブームで、坂本さんが選んだ仕事は寿司職人。ニューヨークに3年、フロリダに5年住み、もう一度心機一転したいと思い立ってハワイにやってきた。好きなサーフィンができて、今まで行ったことのない場所。ハワイを選んだのはそんなシンプルな理由からだ。

しかし、ときはテロの翌年の2002年。街に観光客の姿はなく、仕事を探してもなかなか見つからない。「えらいところに来てしまった」という思いが坂本さんの頭をよぎったが、なんとなく居続けるうちにハワイの住みやすさを実感するようになった。カラッとして暖かい気候、治安のよさ、日本人に対する慣れや親近感。せっかく来たのだからもう少し暮らしてみよう、そう思い直したという。

ハワイでの最初の働き先は、ワイキキのおむすび店『いやす夢(め)』だった。

「今はワイキキに数店舗ありますが、当時はまだ1店舗だけで、脱サラしてハワイに移住した日本人夫婦がふたりで経営されていました。僕はたまたまその裏に住んでいて、よくおむすびを買いに行ってはご夫婦と世間話をしていたんです。ある日、オーナーが『ノリちゃん、うちでお店を手伝わない?』と。奥さんが妊娠して仕事を休むことになったから、人手が足りないという話でした。それでありがたくお店で働かせてもらうことになったんです」

40歳で自分の店、『パイオニア・サルーン』をオープン

「そろそろ自分のお店を持ちたい」と思い始めたのは40歳の頃。『いやす夢』では店舗経営や新規出店を任され、料理以外のスキルも身につけることができた。結婚して家庭を持ったことも、きっかけのひとつだったという。

アメリカで寿司職人として働いてきた坂本さんだったが、ハワイには有名寿司店が数多くあるため、その道は早々に選択肢から外した。寿司や天ぷらのように日本人でもそう頻繁に食べないものではなく、毎日食べるような普通のものを提供したい。そう考えたときに思い浮かんだのがプレートランチだった。一皿に主食とおかずがのった「お弁当」のようなスタイルには、日本の文化が色濃く現れている。

「ありったけのお金で場所や食材を用意して『パイオニア・サルーン』をオープンさせました。ところが、当時あのあたりはまだお店が少なく、観光客が足を伸ばす場所でもなかったので、近所の人たちを中心に1日20食がせいぜい。16時にお店を閉めて夜はバイトに行く…という生活を送っていました」

 

お店が繁盛し始めたのは、オープンして半年ほど経ってから。ブログやSNSが相次いで流行し、ハワイに旅行にきた若い女性やハワイ在住の日本人たちが、写真を撮ってはアップしてくれるようになった。「ガーリックアヒステーキ」「モチコチキン」「ジンジャーポーク」といった、ハワイ料理と日本食が融合したクオリティの高い料理はもちろん、洋服や雑貨をあちこちにディスプレイした風変わりな店内も人々の関心を引き寄せたのだろう。

やがて日本の雑誌やテレビが取材に来るようになり、有名人も多く訪れた。それを見た一般の人がまた来店するという、まさに好循環を生み出すことに成功したのである。「日本のハワイブームのおかげもあった」と、坂本さんは謙虚に語った。

「日常」を知ってこそ、ハワイ本来の魅力を知れる

2018年にオープンしたばかりの2号店は、カカアコの新しいランドマークとして注目されている複合施設『SALT』内にある。運営者の中に『パイオニア・サルーン』のファンがおり、出店のオファーをもらったのだという。

ワイキキのど真ん中より、少し離れたローカルなエリアのほうが好きという坂本さん。ウォールアートで一躍有名になったカカアコは、近年おしゃれなお店や新しいコンドミニアムが増えており、「おもしろい人たちが集まってきている」と彼は言う。

「感度の高い人や自己表現したい若者がたくさんいるので、店内の壁をギャラリーとして貸しています。作品展の記念にお店でパーティーを開いて、コミュニケーションの場にしてもらったりね。飲食店は地域に支えられているビジネスなので、地元の人に恩返しをしたいという思いが常にあるんです」

実は、ハワイに来て最初に住んだアパートが、プリンス ワイキキの真向かいだったという坂本さん。当時はよくコーヒーショップに立ち寄ってコーヒーを買っていたそうだ。日本から来た友人が宿泊したり、ホテルで働いている地元の友人がいたり、何かと思い入れがあるという。

「こっちに住んでいる僕から見ても、プリンス周辺のエリアは過ごしやすいなと思います。賑やかすぎないし、アラモアナやカカアコにも近いし。フリーウェイにも乗りやすいので、車を借りてカイルアやノースショアまで出かけるのもおすすめ。地元の人が行くようなディープな場所のほうが日常が垣間見えて、『観光』ではない『普通のハワイ』を楽しむことができるんじゃないでしょうか」

20年近くハワイに暮らし、地元の人と支え合いながら日常を生きている坂本さん。ハワイの本当の魅力を知ることとはすなわち、「普通のハワイ」を感じることなのかもしれない。

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